
毎朝6時半に店が開き、通勤、通学の人々や近所の常連が、朝食のパンを買い求めに次々に階段を降りてゆく『B-grotto』。早朝オープンのために、オーナーシェフの石井幸男さんは、毎晩12時ごろからひとりでパンを焼きはじめる。80種類にも及ぶパンがほぼ揃うのは11時ごろ。まるでステージのように大きなテーブルに並ぶ焼きたてのパンのまわりを、お客さんがゆっくりと回りながら選んでいく。

その中で創業以来人気ナンバーワンの座をキープしているのは『レーズンとクリームチーズ』。レーズン入りの食パン生地に、あんぱんの餡のごとく、クリームチーズがぎっしりと包まれている、ほのかに甘くて酸味のあるパンだ。

「クリームチーズを使ったパンをやりたかったので、材料を探していたら『北海道乳業』のクリームチーズが、焼いてもチーズがしっとりしたまま仕上がったので、これだ!と思いました。他のメーカーのものだと焼いた後にパサついてしまうので、絶対切らさないようにしています」。
原型になったのは石井さんの修業先・葉山『ボンジュール』の2種のチーズ入りのパン。ただ、そのパンは塩味のフィリングなので、甘くしたのは石井さんのオリジナル。クリームチーズが相当入っているけど、くどくなくペロリと食べられるのがいい。

もうひとつの人気のチーズパンは、シュレッドチーズと黒こしょうをたっぷり入れた食パン。
「このパンは独立する前に修業した神戸の『ブーランジェリー コム・シノワ』にあったチーズとカイエンペッパー入りの食パンがヒントになりました。黒こしょうは作る度にホールの黒こしょうをガリガリと挽いてチーズと一緒に生地にねりこみます。そうすると辛さがやわらぎ、こしょうのスパイシーな香りが残るんですよ。チーズはゴーダなど数種類のナチュラルチーズのミックスシュレッドを使っています」。

パンのミミ部分に香ばしく焼けたチーズが多いので、ミミのほうがおいしい気がする。グリルした肉をはさむと抜群に相性がよく、茅ヶ崎ではBBQ用にとても人気がある。
「ぼくが修業をはじめた頃は、チーズパンと言えばダイス状にカットされたプロセスチーズが主流でした。その後、少しずつナチュラルチーズが広まり、パンの世界にも素材としてナチュラルチーズの種類が増えてきたので、チーズパンもどんどんバリエーション豊かになりましたね」。

オトナ向けのチーズパンとして人気なのが、バゲット生地の中に、ゴルゴンゾーラチーズとクルミ、ハチミツを混ぜ込んだパンだ。これならスライスするだけで、ワインがいくらでも飲めそうではないか。

毎日たくさんのパンを焼いている石井さんだけど、中でも安定した焼き上がりに最も気遣うのは食パンとバゲットだそう。とくに『ブーランジェリー コム・シノワ』のレシピを踏襲し、リスドオルとライ麦、全粒粉にセモリナ粉を入れて焼き上げるバゲットは自信作、とか。
「神戸の修業は、技術だけでなくパンと向き合う姿勢まで教わった貴重な経験でした。そこで習ったバゲットと一緒に白カビ系のチーズを食べると、いつも幸せを感じます」。

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B-grotto (ビーグロット)
茅ヶ崎市東海岸北1-5-4サザングランドハイツB1F ☎
6:30 ~ 18:00 日曜定休、月曜不定休P1台
レーズンとクリームチーズ226円、黒こしょうとチーズの食パン一斤453円
*営業時間や料金、定休日などは変わっていることもあります。
《最新情報はこちらでご確認ください》
instagram @b-grotto