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フランス産うずらの丸ごとロースト【ビストロ・ルパ/鴨宮】

滋味豊かなイカの煮汁をたっぷり含んだイカ飯のごはんや、香ばしいうなぎの脂やタレをまとったひつまぶしのごはんなど、ヴァンパイアのごとくエキスを吸いまくったごはんは、おそろしくうまいものに変身する。このうずらのファルシのような丸ごとローストも然り。フランスではうずらが主役なのだろうが、日本人としては、肉だけでなくごはんの方にも激しく惹かれるわけで。炭水化物上等、ビバビバうずら飯。


パリパリの皮を破るようにナイフを入れると、ぎっしり詰まった雑穀入りバターライスが顔をのぞかせる。肉を切っているのに、汁がまったくこぼれないのは、うまみに満ちた肉汁を米がすべて吸ってしまっている証拠だ。うずらの脂の上品な甘味、香ばしく焼けた匂いまでしっかり染み込んだバターライスを頬張れば、ああ、ニヤニヤが止まらない。ルパがオープンした6年前にはじめて出合って以来、うずら飯を食べるときはいつもニヤついてしまう。もう、ほぼ変態。



シェフの藤井真大さんは、フランスの星付きレストランなどで腕を磨いてきたが、うずら料理は独学。この鳥はサイズが小さい分、脚以外の骨をほぼすべて抜き取る《つぼ抜き》と呼ばれる作業が、とくに手間暇かかるという。



「指を入れて骨を1本ずつはずしていくのに1羽あたり10分はかかりますね。骨がやわらかくて途中で折れてしまったり、力を入れすぎて身に穴が開いてしまったりするので、けっこう集中してやらないと」。その骨でブイヨンをとっておいて、バターライスやソースを作るときに加える。うずらのうまみがギュッと凝縮されたような味わいは、そうした丁寧な仕事から生まれるのだ。 「今日は雑穀入りのバターライスを詰めましたけど、豆やトウモロコシ、きのこ、栗など、季節によっていろいろなバリエーションのライスを組み合わせています」。

うずらの肉をジューシーに仕上げるには、火入れが命。最初にフライパンを使ってまわりをぐるりと焼き、あとは肉のうまみを閉じ込めながら、オーブンで火を通す。そして最後に再びフライパンで、皮目をカリッと仕上げる。このとき、藁焼きにして表面をより香ばしくすることもあるそうだ。

「丸ごと焼くのは難しいけど面白いですね。うずらの場合は、胸肉の部分がしっとり焼けていればカンペキ。モモの関節あたりに火が通りにくいんですが、そっちに合わせて火を入れていくと、胸肉の方が焼け過ぎちゃうから、そのあたりのバランスかなー」と藤井さん。なんて繊細な、なんてマニアックな。

ところで、うずらの丸焼きローストは単品1,900円なのに、1,550円のランチコースでは+600円、3,500円のディナーコースでは+200円でメイン料理として選べてしまう、なんとも気前のいい価格設定。って言うか、ホントにこれ合ってますか、シェフ。 《つぼ抜き》は一羽10分かかるらしいし、うずらを注文するお客さんが増えてもビストロ・ルパは大丈夫なのか、あと2行で原稿を書き終える今になって、心配になってきました。



ビストロ・ルパ 小田原市南鴨宮3-37-24 天勇ビル2F 営業時間11:30〜14:00(L.O.)/17:30〜20:00 火曜・第2水曜定休 P3台

フランス産うずらの丸焼きロースト1,900円(ランチコース1,550円〜で注文する場合は+600円、ディナーコース3,500円〜の場合は+200円)、赤野菜のサラダ1,100円、フォンダンショコラ650円

*営業時間や定休日、料理の値段などは取材後に変更されることもあるのでお店にご確認ください。


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