茅ケ崎駅前や大磯市、カミイチなどで人気キッチンカーとして活躍してきたケムリカレーが、地元平塚の街に店舗を構えたのは2018年11月のこと。現在もキッチンカー営業は続けているので、ここが開店するのは週3、4日限定である。店主の白川清和さんは「移動販売の自由なスピリッツを忘れたくないので、今でもぼくの中では、キッチンカーが《本店》なんです」と笑う。


ケムリカレー《本店》とは長い付き合いになるが、いつも食べるのは野外だったので、この《紅谷町店》の席に座ってゆっくり食べると、ひと味違って感じられるから不思議なものだ。ちゃんとした重たい皿と、ちゃんとした金属スプーン効果だろうか(笑)。


野菜のボリュームは明らかに増し増し、おなじみの雑穀ライスも、店では半熟の目玉焼き付きだ。そして、今まで車内の狭いキッチンでこっそりやっていた細やかな仕事が、ここでは向かい合ってしゃべったり見たりしているうちに、みんなバレてしまう。

例えば、すべてのカレーのベースになるスープは、国産丸鶏を大きな寸胴鍋に入れて6時間以上かけてとっているそうで、「貝柱と野菜を加えて、グツグツ煮ています。ラーメンのスープよりも高温だから、最後には野菜もすべて溶けていますね」。

スープカレーの具となる野菜は、生のまま加える野菜(シメジ、スナップエンドウ、チンゲンサイ、ピーマンなど)と、一度揚げてから加える野菜(ナス、ジャガイモ、カボチャ、ブロッコリー、オクラ、サツマイモなど)に分かれていて、ニンジンはわざわざグラッセにしてある。
鶏モモ肉は身がホロホロになるまでじっくり煮込み、目玉焼きは縁や底がチリチリカリカリの食感になるように仕上げる。手抜きができない職人肌であることは間違いない。

「今はもう移転してしまったんですけど、昔、横浜にものすごくおいしいスープカレーを出す店があったんです。スパイスが立ってて、パンチが効いてて、素材の味がしっかり伝わってきて。11年前にキッチンカーをはじめて、試行錯誤を繰り返しながら、ずっとその《オレの中にある理想の味》を目指してやっています。誰かに教わったわけではないので、全部自己流なんすよ」。

初期のカレーには25種類ものスパイスを使っていたそうだ。しかし、ひとつひとつは香りがいいけど、入れ過ぎると打ち消し合って全体の香りがボヤけてしまうことに気付き、さまざまな引き算を試しながら種類に絞っていった。そうやって選び抜いたスパイスを駆使しながら、化学調味料には一切頼らずに、出汁や食材のうまみをフルに活かした、見事なスープカレーを作り上げる。

「キッチンカーと違って夜も営業しているので、スパイスを使った一品料理もあるし、クラフトビールも4種類用意しています。スープカレーを食べなくてもいいから(笑)、ふらりと軽く一杯飲みに来てくれるような場所にしたいですね。集まったお客さん同士が仲良くなってくれたりしたら最高です」と白川さん。



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平塚市紅谷町12-11
11:30~14:30(L.O.14:00)/17:00~21:00(L.O.20:30)
月・水・日曜定休、土曜不定休
https://ameblo.jp/kemuri-curry/ 鶏野菜スープカレー1,100円、ベーコンと春菊のホットサラダ600円、クミンとしそのニンジンラペ300円、ザンキ600円、クラフトビール各種650円