
今回のイタリアンジェラート特集に登場するお店の中で、最もイタリアから遠いところにありそうに見えるのが、JA湘南の農産物直売所『あさつゆ広場』に併設されたこのジェラート屋だ。
ロケーションは花や苗の売り場前、雰囲気は至って庶民的、値段もお手頃。毎週割引の日が設定されていて、ポイントカードもある。ジェラート以外、メニューにはイタリア語らしきフレーズがまったくない。なにしろ店名からして『あさつゆ工房』なのである。

しかし、ジェラートというものが《イタリア人の生活に当たり前のように溶け込んでいる食文化のひとつ》だとするならば、野菜を買いに来るついでに立ち寄ってジェラートを食べるのを楽しみにしているお客さんが、老若男女たくさんいるこの『あさつゆ工房』こそ、実はイタリアのジェラート屋にかなり近い存在なのかもしれない。
なんてことを思いつつ、販売スタッフにおすすめのジェラートを尋ねると、「今日は菜花がありますよー」という言葉。ナバナ? あの?
「はい、あの菜花です!ホウレンソウとか小松菜とか、平塚産の葉ものをよくジェラートにするんです。春菊もおいしいですよ!」と元気に答えてくれた。春菊ジェラート......たしかに良い香りだし、いけるかも!我が人生初の菜花ジェラートは、最初に想像していたような青汁風味ではなく、むしろ好きなテイストだった。

ジェラートを食べているのに糖分やカロリーからくる罪悪感がまったくないのは、「栄養満点な野菜をたくさん食べなさい!」という幼いころからの親の教えのおかげだろうか。
JA湘南が運営しているお店なので、葉ものに限らず、地元のフルーツ、野菜から県西部の足柄茶、箱根山麓の紅茶まで、なんでもジェラートにしてしまうそうだ。「平塚産の農産物を使ったものでは、イチゴやキウイ、ネギ、アスパラ、トマト、落花生、くりまさり、バラの花などが人気ですね」。

『あさつゆ工房』のジェラートにはすべて地元産の生乳が使われている。平塚は伊勢原に次いで県内第2位の酪農生産地で、若手酪農家からなる『角笛(つのぶえ)会』というグループが、ホルスタイン牛のフレッシュな生乳をここへ直接届けている。
そうすることで通常は2度ある殺菌工程が1度だけで済むため、脂肪やタンパク質が変質することなく、ジェラートになってからも濃厚かつ後味すっきりな絞りたて牛乳のような味わいを楽しめる、ということらしい。
最後に。ジャージー牛の生乳を使ったミルクジェラートがあり、こちらはホルスタイン牛のより乳脂肪分が多くてさらに濃厚なので、そっち系をなめながら悶絶したい方は絶対おすすめですよ、ジャージー牛。

#平塚 #ホルスタイン #ジャージー #ジェラート #あさつゆ広場 #直売所 #野菜
平塚市寺田縄424-1 9:30~16:30(11〜2月は10:00〜16:00) 水曜定休(祝日の場合は営業) P100台
ジェラートミニサイズ200円、シングル320円、ダブル370円。木曜《ジェラートの日》と第2月曜《アイスの日》にはシングルとダブルが50円割引に。ジャージー牛のミルクジェラートはシングル370円、ダブル420円 *営業時間や料金、定休日などは変わっていることもありますので必ずご確認ください。