top of page
うみちかバナー募集_20220111.png

いろいろスパイスフルな劇場型インド料理店【バルティヤ・ザイカ/小田原】

あまりにもオープンすぎる、ザ・丸見えキッチン。料理人の後頭部やガスコンロの火がこんな角度で見えるレストランは、ほかになかなかないような気がする。ザイカ初訪問時、ひとつ目のサプライズは、このフルオープンなカウンター席だった。そして次なるサプライズは、ランチメニューにずらり並んだカレーの選択肢。全部で12種類あるのも、そのうち3種類が豆のカレー(ウラド豆、ヒヨコ豆、ムング豆)というのも珍しかった。


ぼくはカレー2種ランチを食べたかったので、バターチキンとパラクパニール(ホウレンソウとカッテージチーズ)を選んだ。3つ目のサプライズ、それはカレーを待っている間に出された野菜サラダ。生野菜が見えないくらいドバドバとオレンジ色のドレッシングをかけたサラダを出すようなインド料理店がどれだけ多く、ぼくらは(少なくともぼくは)どれほどそれにウンザリしていることか。


しかし、ザイカのサラダは違った。賽の目に切られたキュウリ、ニンジン、ダイコンなどがゴロゴロ盛られ、味付けはオリーブオイルと塩こしょう、ほんのり香るクミンのみ。このサラダを食べて、カレーも絶対うまいぞと確信したのだが、サプライズはまだ残っていた。ザイカの店主サンジェイさんは、ぼくが注文したカレーを、まさに《目の前で》作った。それも、ふたつのフライパンを使って、2種類のカレーを。




作り置きをせずに、素材を炒めてスパイスを投入して、あっという間に小さなお玉一杯分のカレーを仕上げる。それを2回やることで、2種類のカレーができあがるのだが、そんな手間のかかること、ランチタイムにふつうやるだろうか。思わず「いつもそうやっているんですか?」と聞いたぼくに、サンジェイさんはこう言った。「もし4人のお客さんが違うカレーを2種類ずつ注文したら、8種類のカレーを同じように作るよ。作りたてじゃなければスパイスの香りは立たないし、おいしくないからね」。

そのカレーがどちらも素晴らしかったのは、もはやサプライズではなく、当然のことだった。バターチキンは、それまで口にしたことがないようなディープでリッチな味わいだった。「なぜか砂糖やケチャップを入れる店が多いけど、うちは絶対にそんなことはしない。フレッシュトマトやカシューナッツのペースト、牛乳から作ったホエイなどが甘味やコクを生むし、あとはスパイスのコンビネーションとバランスを考えればいいんだ」。


ザイカは、このカレー2種類のランチセットがおすすめだが、アラカルトのカレーも豊富で、伝統的なスイーツなどもすべて手作り。予約すれば、チキンやマトンのビリヤニも炊いてくれる。「よくあるチャーハンみたいなイミテーションのビリヤニではなく、ぼくの故郷である北インドのスタイルそのまま」という言葉どおり、何やらスパイスの殻を噛むたびに弾ける華やかな香りも、ビリヤニにかけるライタ(刻んだ野菜の入ったヨーグルト)から漂う、ちょっと硫黄みたいな匂いも鮮烈。


開店7年目となる、わずか10席の小さなレストラン。ここは間違いなく、インドだ。






#小田原 #カレー #ザイカ #インド #ビリヤニ

 

小田原市荻窪314正和ビル2F 11:00~15:00/17:00~22:00(月曜の夜は休み) 無休 P1台

カレー2種ランチ900円、チキンビリヤニ1,380円、マトンビリヤニ2,080円(ライタ、タマネギ、チャイ付き/2人前より、要予約)



© うみちかLLP
bottom of page