いただきます食堂は以前、茅ヶ崎の鉄砲通りのカフェを間借りして営業していた。そのころ、ラクサがめっちゃうまい店がある、と友人から聞き、検索してみると、FBやブログの記事がたくさん出てきて、そこには決まって、ニカーッと笑った店主さんの顔が写っていた。なかなかない笑顔全開レベルだったので、ちょっとその圧に負けてしまい、ラクサを食べに行くのをしばらく躊躇していたのだが、それでもオイシイモノへの欲望が勝り、いただきます食堂を訪ねた。

カウンター越しに生で拝見した笑顔はやさしくて無圧で、それよりもなによりも、ラクサが抜群においしくて、一瞬で恋に落ちるように、このお店のファンになった。その晴れやかスマイルの店主・梶原裕矢さんは、ワーホリ滞在中のブリスベンでラクサに惚れ込み、シンガポールやマレーシアでもラクサを食べまくってきたそうだ。

「向こうではラーメンのように日常的な食べ物なので、地域によっていろいろな種類があるんです。うちのはマレーシアのマラッカで食べらているニョニャラクサです」。帰国後はラクサをつくるイベントや間借り営業をしていたが、現在の店舗と巡り合い、2018年4月にラクサ専門店をオープンした。

誰かに習ったわけではないので、舌の記憶をたどりながら、自分なりに本場の味を再現。米麹を自家製ラクサダレに漬け込んで熟成発酵させた返しに、海老と野菜でとった出汁を加えたラクサのスープは、濃厚な海老&ココナッツミルク風味だ。麺は太麺、平麺、細麺の3種から選ぶシステムで、それぞれ長男、次男、三男と呼ばれている。

より詳しく書くと、『個性派ポッチャリ長男』『そつなくこなす平らな次男』『スマートイケメン三男』。メニューには三兄弟の絵まで描かれているが、どの麺にしたらいいのか余計に悩んでしまうので、見ない方がいい。
ちなみに麺と一緒に入っているのは春雨。本場ではビーフンを使うそうだが、この春雨がスープをたっぷり吸うので、麺&春雨をすすったときに、何ともいい具合にスープがジュルジュルと口の中へ運ばれてくる。麺だけならこんなにジューシーにはならないだろうから、このダブルヌードル的なアイディアはすごいな。

ラクサの具は、厚揚げ、油揚げ、もやしキューリ、海老、フライドオニオンなど。そこに海老油、海老ペースト、パクチーなどのアジアンな香りが加わる。辛味が欲しければ、別注文でサンバルもあり。 「ラクサはお得なセットをご注文いただく方が多いですね。麺を食べたあとのスープに、ジャスミンライスを入れる追い飯がおすすめ。いつか日本中にラクサが広まって、どのお店でもいただきます食堂のように追い飯を出すようになるのが、ぼくの夢なんですよ」と梶原さん。

このラクサの正式名は、発幸ラクサというそうな。なるほど、発酵スープの深い味わいは、たしかに幸福感に満ちていたなあ、と思い出してニヤニヤ。こんなにおいしいラクサをしょっちゅう食べていたら、ぼくもそのうちニヤニヤがニカーッになりそうな気がしてきた。


茅ヶ崎市東海岸南6丁目3-26 シ ー サ イド ビ ル 202 11:00 ~ 15:00 月曜定休 P2 台
https://www.facebook.com/itadakimasushokudou/ 発幸ラクサセット1,400円( 追 い 飯 、 TKG セ ッ ト 、 大盛、一口豆乳アイス か ら 2 つ 選 択 )、 単 品 は1,100 円。トッピング各 種50〜150円