『清香園』は決して便利な場所とは言えないロケーションだけど、いつ行ってもひっきりなしにお客さんがやってきては、明るくて元気のいい中国人のお姉さんたちが賑やかに接客している。メニューが豊富なのも、この店の魅力で、番号80からはじまる麺類だけでも15種類もあり、夏季にはさらに3種類の冷やし中華が加わる。その中でもいちばんの人気という『棒棒鶏冷麺』をはじめて食べたときは驚いた。具と麺と胡麻だれが全部別盛りになって登場したのだ。

「お客様には濃い味が好きな人もいるし、薄目が好みの人もいらっしゃるので、好きなようにたれをかけて食べて欲しくて、開店当時からこの形にしています。たっぷり添えた具を、まずはおかずとして召し上がる方もいらっしゃいますよ」と料理長の高谷宗達さん。なるほど、納得。とくにしっとりと柔らかい蒸し鶏は、食べる度に感動するほどなので、どうすればこんなにジューシーになるのかも教えてもらった。

「鶏は丸鶏のまま蒸し上げるんです。火が通ったら、すぐに氷水にとって身を締めてから、しばらく冷まします。冷めたらゆっくり身をさばき、骨も全部外してから身をスープに漬けて、一晩置くんです。そうするとうまみを吸ってしっとりとジューシーな蒸し鶏ができあがります」。

味の決め手の胡麻だれは、皮むき胡麻をフライパンで煎って、煎って、最大限に胡麻の香りを引き出したのち、ミキサーで摺って作るという。『棒棒鶏冷麺』を作るところを見ていたら、あっという間に完成してしまったが、それまでの手間と時間を知ると、おいしい理由が良くわかる。そして『清香園』はとくに麺類が人気の店なのだけど、独特の細麺は製麺所に特別注文しているという。細くてコシがあり、スープの中で時間が経っても伸びにくい、というスペシャルな麺を、冷麺にも使用している。


ちなみに夏限定の冷やし中華はほかにも2 種類ある。『五目冷麺』は、いわゆる日本式の冷やし中華と同様に、蒸し鶏、焼き豚、海老、錦糸卵、くらげなどの具を麺にのせて、さっぱりとした酢醤油のたれをかけたタイプ。さらに値段がいちばん高い『海鮮冷麺』は、麺だけにたれをかけ、海老やホタテなどの海の幸の具材を、別皿に盛りつけて出てくる。何ともまあ、三者三様の魅力的な冷麺バリエーションが用意されているのだ。

「冷やし中華は日本で生まれた料理です。中国には蒸した麺を冷たくして、たれをかけて食べるものはありますが、水道事情が悪いので、水でざぶざぶ洗って麺を食べるような習慣はないんです。日本生まれの冷やし中華を、中国式の具やたれで仕上げ、食べてもらうのがうちの冷やし中華なんですね。この店ができてもう29年目になりますが、ずっとお客様に支えられてきたのも、日本人の味覚に合わせた中国料理に、こだわってきたからだと思います」という冷麺を、夏の訪れとともに季節を感じながら、ぜひ食べてみて欲しい。

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清香園 藤沢市南藤沢6-11フラットビル1・2F
11:00 ~ 15:00 / 17:00~ 23:00(日曜・祝日は~ 22:00)木曜定休
https://yokohama-seikoen.com/fujisawa.html
棒棒鶏冷麺1,100 円、五目冷麺950 円、海鮮冷麺1,250 円 ※いずれも6 ~ 9月末の季節メニュー
*営業時間や料金、定休日などは変わっていることもあります。