その名も『せろりや』のせろりチャーハン。口に入れると米の粒とともに、刻んだセロリが香りと一緒にはじける。珍しい食感。プチプチとした海老の口当たりの良さも、うまさを増し増しにする感じ。でもこのさわやかな醤油風味の味つけの素は、いったい何だろうと考えていたら、その答えはセロリの葉っぱだった。なるほど、セロリの二段活用!。
「セロリの葉が大量に残ってしまうので、細かく刻み、醤油や紹興酒などでじっくり煮て佃煮風にします。昔、まかないでおかずとして食べていたんですが、店をはじめる時にチャーハンの味つけに使ったら、今やうちの看板メニューになりました」と店主の芹澤卓司さん。 チャーハンの中に高菜のように見えるのがセロリの葉。これを調味料として使うのがうまさの秘密だ。

「理想的なチャーハンとは、米粒ひとつひとつにうまみを含んだ油がコーティングされているものだと思います。せろりチャーハンの場合は、まずセロリ葉の佃煮を油で炒め、油にしっかりとうまみと香りを吸収させます。そこに炒めておいた卵、ご飯、セロリの軸のみじん切りと海老を入れ、油をまんべんなくコートするイメージで手早く炒め、最後に香りづけの醤油をたらして完成です」。
セロリが苦手な人でも気付かずに食べてしまうはず。味つけの素になるセロリ葉の佃煮だけ食べさせてもらったら、それだけで白飯一杯を食べてしまいそうな、うまみが凝縮されたごはんの友、だった。もう季節が終わってしまったが、葉トウガラシの佃煮を使うチャーハンもあるとか。こちらはフレッシュな青唐辛子を刻んで入れるので、ピリッとさわやかな刺激の辛さになるそうだ。

『せろりや』は野菜が大好きでたまらない芹澤さんが、味の濃さに惚れ込んだ地元の野菜をたっぷり使いたくてはじめた創作中華料理店だ。 「逗子に住みはじめて、直売所で手に入る三浦野菜のおいしさにびっくりしました。新鮮で値段も安くて、季節ごとにいろんな種類が出てくるので、もっと地元の野菜をおいしく食べてもらえる店をやりたい、と野菜を主役にした店にしました」。

芹澤さんが徹底しているのは、一部の定番を除き、野菜は旬の時期のものしか使わないことだ。食材だけでなく、調味料や辣油などもすべて自家製。化学調味料は一切使わない。年に3回ほど行く中国や台湾で唐辛子などを調達し、さまざまな調味料や香りオイルを作っている。

「ポピュラーな青椒肉絲もピーマンが旬の夏しかやらないです。酢豚や棒棒鶏も定番の野菜ではなく、自分なりの組み合わせで、旬の野菜を使います。常にこれとこれは合うか、って野菜との相性を探りながらあれこれメニューを考えることが好きなんです(笑)」。

定番の水餃子も、ニラだけでなく、豆苗やフェンネルなど、ほかではあまり餃子の具には使わない野菜を入れている。また、一年中食べられて季節感の薄いナスも『せろりや』の旬は9月から。最もおいしい時期の秋ナスをメインにした、野菜の中国風味噌炒めで登場する。『せろりや』に来ると忘れかけていた野菜の旬を思い出す、そんな店だ。

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----------------------------------------------------------------------------------------------------------------- Vegetable Chinese せろりや 逗子市逗子1-11-6 11:30 ~ 14:00(L.O.)、17:30 ~ 21:00(L.O.)木曜定休
せろりチャーハン1,000円(ランチタイムはスープとサラダ付き)、ナスとトマ、アボカドの味噌炒め1,400 円、水餃子500 円 www.seloriya.com *営業時間や料金、定休日などは変わっていることもあります。