店主の高橋浩史さんは、もともと平塚のイタリアンから料理人としての歩みをスタートしたが、6年後に焼き鳥の世界へ。九州を旅しながら多彩な鳥の食文化に触れ、最も感動した福岡の焼き鳥専門店で修行を積んだ。その後、麻布十番の名店『鳥善 瀬尾』に5年勤め、2018年に独立。

「イタリアンをやっていたころから、《焼く》というプロセスが大好きでした。ラムチョップが絶妙なロゼに焼けた時の達成感とか、たまらないんですよ。だから今も毎日、紀州備長炭で食材を《焼く》ことが、楽しくて仕方ありません」。

その日おすすめの焼き物を堪能してほしい、という思いから、メニューは『店主おまかせコース』のみ。でも、一巡目の予約客が帰るような時間になると、アラカルトの注文もできる。「もう少し、うまい焼き鳥を軽くつまみながら飲みたいな」って気分の時に、うれしい一軒なのだ。
さて、その『店主おまかせコース』は、例えば鴨ロースの付き出しからはじまり、鳥と野菜の串8本の合間に、糠漬けや大根おろし、蒸し鶏のサラダなどが登場する。鳥肉は週3回、早朝から豊洲市場で仕入れてくる山梨産のもの。野菜の多くは、料理仲間である伊勢原のイタリアン『ラ・パチャーダ』の農園から。

「畑には2日に1度行って、自分で収穫させてもらうこともあります。この串のミニトマトやネギ、チップスにしたサツマイモやサトイモなどもそうなんですが、野菜の味がとても濃いんですよ。焼き鳥だけでは季節感を出せないので、こんなふうに旬のおいしい野菜が手に入る環境は、本当にありがたいですね」。

大ぶりな首肉から肉汁が溢れるせせり、滋味豊かなかしわ、ガリガリでトロトロなひざ軟骨など、焼き鳥は1本1本がしっかり印象に残る味わい。店の名物となっているちょうちんは、産卵前の卵と卵管の串だ。頬張った瞬間、口の中で卵の薄い膜が弾け、卵管の脂が溶ける。旨味がプチッ&トロッと一瞬で咲いて消えていく、花火のような儚さが醍醐味。

それにしても、肉を焼いているというのに、目の前にカウンター席に座っていても煙がほとんど見えない。
「焼き台も自分でデザインしたんですが、吸引力の強いダクトを取り付けたので、煙がすぐ吸い込まれるようになっているんです。焼き鳥屋だけど寿司屋のようにクリーンな店にしたかったので」。

コース最後のごはんメニューは、卵かけごはん、鳥スープかけごはん、そぼろ丼の3種類からチョイス。
「卵かけごはんは、平塚の鰹節専門店で細かく糸がきにしてもらった鰹節をたっぷりのせたごはんに、平塚で平飼いされている鳥の卵をかけます。お米ももちろん平塚産。途中で塩昆布を足すと、味がガラリと変わって、これがまたうまいんですよ」。

ちなみに、メニューには載っていないけど、3日かけて作るという鳥たっぷりなカレーごはんを選べることもある。そんな日に当たったらラッキーなのだが、卵かけごはんとどちらを選ぶべきか、ああだこうだ悩んでいるうちに酔いが覚めてしまったりするので、お気をつけあれ。

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やき鳥 たかはし 平塚市宮の前1-33 ファーイーストビル1F
営業時間17:00~22:00(21:00最終入店)、日曜は16:30~21:00(20:30最終入店) 月・第2日曜定休 《テイクアウト情報はこちらでご確認ください》 https://www.facebook.com/yakitaka0509/
店主おまかせコース4,200円、焼き物各種270円〜、日本酒540円〜、シェリー酒810円〜