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魚好き酒好きを唸らせたければ【肴とお酒 うを弘/鴨宮】

 その朝、三浦佑太さんが小田原の魚市場で仕入れたのは、地のハモ、アジ、カツオ、タコ、小ムツ。そして競り以外のルートで、青森の生ミンククジラ、佐賀のシンコ、沖縄のドウマンガニなども手に入れた。「9月になると地魚の種類が増えてきます。シロダイやカマス、サバ、カワハギあたりが楽しみですね」。


 店を開いたのは2014年。それまでは小田原の『勝寿司』で4年半、藤沢(現在は銀座)の『喰い切り ひら山』で3年半、修業を積んだ。ミシュランの星を3年連続で獲得した『喰い切り ひら山』では、店主の平山恵介さんから「料理人にとっていちばん大切な、お客さんを大切にする《心構え》を教えていただいた」と感謝する。『うを弘』のわずか6席のカウンターは、そこに座った客と心を通わせながら料理を作る、まさに師匠から受け継いだ《心構え》を発揮する場なのである。






 季節の一品料理も用意されているが、『うを弘』の夜は、おまかせコースが中心。例えば今回撮影した8月の5000円コースだと、先付(トウモロコシの葛寄せにウニとオクラをのせて)、お造り(アジ、小ムツ、カツオ)、煮物(米茄子のオランダ煮)、箸休め(生シラスの緑酢がけ)、八寸(ハモ寿司、卵黄味噌漬け、クリームチーズ豆腐、ハモすり身入り玉子焼き、酢どりミョウガ、丸十の蜜煮、茶豆)、焼き物(または揚げ物)、土鍋ごはん、甘味、といったラインナップだった。




 ちなみに土鍋ごはんは、定番のじゃこ山椒ごはんのほか、9月からはミョウガごはんや茶豆ごはん、さらに9月後半になって新イクラが出始めると秋鮭親子ごはん、栗ごはんなども登場。鍋底のお焦げで作ってくれる、香ばしい出汁茶漬けも楽しみだ。

 

 ここにはテーブル席も個室もあるけれど、ひとりふたりなら、迷うことなく先ほどのカウンター席を選びたい。佑太さんとの会話を楽しみ、どんな旬の素材を使って、どれほど手間暇かけてひと皿を作り上げていくのか、目の前で繰り広げられるライブパフォーマンスをじっと眺める。できあがった料理の美しさに、しばし箸をつけずに見とれる。そんなふうに料理人としっかり向かい合って過ごす時間の贅沢さといったら!



 

 ところで、『肴とお酒 うを弘』という店名の『お酒』の文字が気になってしょうがないんですけど。

「メニューに載っている日本酒は10数種ですが、常に30種くらいは置いていますので、何があるか気軽に聞いてみてください。ぼく自身が夏でも飲むくらい燗酒が好きなので、基本的にはお燗に向いているお酒が多いです。そのほかに、光が当たらないように新聞紙に包んだ状態で熟成させている日本酒も、倉庫に100本以上あります(笑)」。

 

 帰り際に、最近気になっている地魚の話をしていたら、意外にもイナダという名が出てきた。あの出世魚ブリの子ども。「地魚にしては比較的安いイメージがありますけど、仕入れる時に丁寧に選れば、身質がきめ細かくて上品な脂がのっている、すごいイナダがいるんですよ」。むむ、それは初耳。でも、ひとつひとつの地魚の魅力をあらためて見直すってこと、確かにこれから重要かも。次回はぜひ、その厳選イナダの刺身を食べてみたいものだ。

#小田原 #鴨宮 #うを弘 #勝寿司 #ひら山 #喰い切り

 

肴とお酒 うを弘

小田原市鴨宮164 営業時間17:30~22:00 不定休  ameblo.jp/uohiraw/

おまかせコースは5,000円〜(要予約)。その他、季節の一品料理は700円~

*営業時間や料金、定休日などは変わっていることもあります。

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