それかなりヘンタイ。これほんとヤバイっすよ。『グラーノ』の店主・長瀬賢祐さん、通称ケニーが、ヘンタイとかヤバイって言いはじめたら、そのビールは注文してみた方がいい。もちろん好みは人それぞれだが、この店イチオシのビールがどんなものかがよくわかる。飲んでみて、これマジでヤバイかも、と思ってしまったら、もうあなたも立派なヘンタイ仲間だ。
藤沢駅の近く、でも繁華街からはや離れた隠れ家ゾーンに、この店は佇む。ずらりと並んだクラフトビールのタップは8つ。「開店して6年間で500種以上のビールを出してきました。タップのうち1、2種類は必ずヘンタイ系ですね。そこまでやっちゃいますか、という作り手へのリスペクトの気持ちを込めて、ぼくはあえてヘンタイと呼んでいます」とケニー。

かつてはクラフトビールバーにはおいしいものがない、というのが定説だったが、いまやフードだけでも勝負できる店が多い。『グラーノ』も然り。パルマ産プロシュートの原木は必ず骨付きのものを仕入れ、県内で取引しているのはウチだけ、というブランドのイタリア産モッツァレラチーズは、ピッツァやサラダで大活躍。カリカリに仕上げられたジャガイモの皮まわりが抜群にうまいフライドポテトは、毎回必ず注文せずにはいられない名作だ。


本場ナポリでピッツァづくりを学んできたケニー。「現地で教えられたのは、イタリアンは素材を活かすシンプルな料理だということ。砂糖もドルチェ以外には使わないですからね。手を加えないと料理じゃない、って考え方にとらわれがちですが、シンプルでおいしいのがベストだと思うようになりました」。


店のシンボルは、赤いタイルが散りばめられた石窯だ。「この600度の石窯で何でも調理してしまうので、ガスオーブンもあるけどまったく使わないですね。ナポリの師匠はよく『ピッツァは鍋と同じだ』と言ってました。ピッツァ生地に載せるのは具材だけ。あらかじめ仕込んでおいたトマトソースではなく、クラッシュさせた新鮮なトマトを載せてから石窯で加熱することで、ピッツァの上でソースを作るようなイメージなんです」。
『グラーノ』を訪れたら、タップの上部にある四角い枠を見てほしい。そこにはビールひとつひとつのラベルの絵が描かれている。「どんなに忙しくてもビールが変わる度に描くようにしているのは、醸造家はみんなラベルに特別な思い入れがあるような気がするから」、カラーペンと爪楊枝を使ってケニー自身が描く。なんというクラフトビール愛。さすがヘンタイ。
「忙しそうですね」なんて言葉は間違っている気がしたので、「楽しそうですね」と言ってみたら、ケニーはニヤリと笑いながら「ヤバイですよ」と言った。

【最新情報】2020年3月、同じビルの地下に姉妹店『Draft Journey』がオープン。こちらは樽ワインとクラフトビール、そしてニューヨークスタイルのベーグルサンドがおいしい。上と下で、ハシゴ酒Journeyを楽しむのもおすすめだ。

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grano
藤沢市鵠沼花沢町2-4 営業時間:ランチは月・水・金曜11:30~14:00、土・日曜・祝日12:00~14:30/ディナーは毎日17:00~1:00 不定休 *Draft Journeyは18:00〜24:00(日曜定休) 《テイクアウト情報はこちらでご確認ください》 www.granoshonan.com
水牛のマルゲリータ1,280円、パルマのプロシュート790円、ルッコラとパルミジャーノのサラダ(ハーフ)780円、ピンチョス&クロスティーニ各種190円 ★クラフトビールはグラス(300ml)850円~、パイント(500ml)1,100円~など *営業時間や料金、定休日などは変わっていることもあります。