メニューはチキンカリーのセットのみ。1日30食限定なので、ランチタイムに売り切れれば、店仕舞いだ。「とても時間がかかるので、ひとりで1日に作れる量は30食が限界」と店主の竹迫順平さん。
材料は骨付き鶏肉と玉ねぎ、トマトなどの野菜に10数種のスパイスと塩のみ。これを2日かけて煮込むとスパイスが染み込み、肉がホロホロになったカリーができあがる。骨まで食べられそうなやわらかさだ。
「パキスタンのパンジャブ地方のカレーです。結婚式などのお祝いごとのときに、大量に仕込んで振る舞う料理だそうですが、現地では食べたことがないんですよね。作り方は、店を開く前に手伝わせてもらった横浜の師匠の店と同じです。調理方法もスパイスも基本は同じですが、作る人間が違うからなのか、両方の店に通うお客さんには、それぞれの味があるね、と言われます」。

驚くことに竹迫さんは、カレーやスパイスには、ほとんど興味がなかったと言う。しかし毎日カレーでもOK、というほどカレー好きな奥さんに連れて行かれた師匠のカレー屋に通い詰め、いつしかサラリーマンを辞めて厨房で働くようになった。
「カレーに詳しくない僕でも、ここは本物だ、と直感的に感じたんですよね。ずっと手伝うつもりでしたが、師匠に『自分でやらないと、店をやってる人間の気持ちがわからない。もう来なくていい』と言われたんです。ボランティアに近い形で手伝っていましたが、店をやらなければならなくなりました」。
縁あって現在の店舗を見つけ、5年前に店を開業……したものの、しばらくは客が入らず赤字だった。「とにかく暇だったので、カレーを仕込みながら看板を作ったり、仏様や観音様の絵を描き続けました。鎌倉の主要なお寺の仏様はほぼ描いています。鎌倉に来てもお寺を回り切れないので、ここでまとめて拝めますよ、いかがでしょう(笑)」。

しかしテレビに取り上げられたことから、ついにブレイク。ときには行列もできる人気店に。「いやいや、まだまだですよ。でも、どうも調子が出ない、元気になりたい、というお客さんが食べに来てくれるのはとてもうれしいですね。来たときは表情がどんよりしてた方が、帰りには明るい顔になっていたり、ケンカしてたふたりの機嫌が良くなったり、そういう姿を見ると、ああ良かったなって。苦しいのは僕だけでいいんで(笑)。 店をはじめたころは、何のためにやってるのか動機すらわからなかったけど、3年経ってやっと、続けていこうと思うようになりました。鎌倉はカレー屋が多い町ですが、こういうカレーはほかにないので、競争社会に入らないですむのも良かったですね」。
テーブルの上には《極楽粉》と書かれたスパイスがある。これは師匠の店にはなく、スパイス5種をブレンドした竹迫さんオリジナルだ。
「カレーに使うスパイスは一般的なものだけですが、極楽粉は古代インドの薬草学に伝わる効能に基づいてブレンドしました。極楽カリーにスパイシーさを加え、元気になるお手伝いをするスパイスなので、ぜひかけて召し上がってください」。

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極楽カリー
鎌倉市由比ガ浜3-9-47 営業時間11:30~14:30/17:30~21:00 ※売り切れ次第終了 火・最終水曜定休 《テイクアウト情報はこちらでご確認ください》gokurakucurry.com
カリーセット1,500円(チキンカリー、ライス、サラダ、チャイ) *営業時間や料金、定休日などは変わっていることもあります。