人の流れもゆるやかで落ち着いた風情がある鎌倉・大町奥まった路地にあるベーカリー『mbs46.7』。ガラスケースの中には、丁寧な仕事ぶりがうかがわれるハード系パンや調理パン、サンドイッチがきれいに並んでいる。数種類の自家製天然酵母を育てながら、黙々とパンを焼いている店主・岸本朗子さん。パン屋を志したのは、手ごねパンの教室『パン工房・焼きましょう』に入ったことがきっかけだそう。手ごねのパンとは生地に負担をかけずに、口どけの良い生地に仕上げる独特のもの。

「手ごねパンは力加減やクセで、その人にしか出せない味になります。私の味、というところがいいのよね。それでも体調や精神状態によって味が変わるから、なかなか思い通りにはいかない。でもそれが面白いんです。力は必要ないの。粉と水を均一に一体化させるために、生地をやさしくこねるんです。できるだけ繊維が細くなるように気を使いながら、生地のおいしさを引き出すんです」。

開店時間には香ばしく焼き上がったパンがガラスケースに並んでいく。メインはハード系のパン。人気のナチュラルバゲットは牛乳とヨーグルト酵母にライ麦の酵母を加えて作る。ワインにも合う、自慢のパンだ。焼き上がったバゲットをカットし、サンドイッチも作っていく。日替わりのオープンサンドや、バインミーは、早々に売り切れることもある。
「私自身、エスニック料理が好きだし、バゲットをおいしく食べてもらうにはぴったりのサンドイッチだと思います」と話すバインミー用のパンは、ナチュラルバゲットをショートサイズで焼いている。具のレバーペーストと大根と人参のなますは自家製。焼き豚は近所の北村牛肉店の特製だ。焼き豚をはさみ、ニョクマムをたらし、パクチーを添える。

「なますの水分でパンが湿ってしまうので、パンと具の間にフィルムをはさみ、全体をラッピングして、食べる前に外していただいています。ちょっとした工夫ですけどね」。
その親切なひと手間のおかげでテイクアウトしてもバゲットはパリッとクリスピー。ベトナム料理の取り合わせの妙が、作りたてのおいしさで味わえる。そしてここのオープンサンドイッチをはじめて食べた人は、衝撃を受けるはず。というのもパンに乗っている具材が、もはや単なるパンのおかずではなく、ひとつの料理として完成されたものだからだ。
「今日は何が食べたいかな、って夕飯のおかずを考えるような気持ちで決めています。上にのせるものは自由ですからね。いつも思いつきなの。でも自分が食べておいしければ、これおいしいですよ、と言えるでしょ」。

中でもローストチキンやキーマカレーは、不動の人気メニュー。数えたことがない、というほどバリェーションがある具材を、彩りよくのせたオープンサンドは、その姿を見ただけで心躍るし、いますぐかじりつきたい気分になる。岸本さんがふとつぶやいた「パンの上の小さな世界に夢がある」という言葉はまさにこの店のサンドイッチの魅力だろう。
「食いしん坊なので、どこかで食べたおいしい料理をすぐに取り入れちゃう。そうやってまたメニューが増えていくのよね(笑)」。


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mbs46.7
鎌倉市大町1-1-13 営業時間11:00〜18:00 月・火曜不定休 ※SNSでご確認ください 《テイクアウト情報はこちらでご確認ください》https://www.facebook.com/mbs467/
バイン★ミー550円~、日替わりオープンサンド550円~、サンドイッチ650円~ *営業時間や料金、定休日などは変わっていることもあります。